数寄屋門とその玄関の白木の美しさを復活するミッション、いつもと違い神社寺院などの再生職人さんへ依頼したお仕事です。今回もとても勉強になりました!

一見した現場の感想は…

「数寄屋門と玄関が堂々とした和の極み」

「広い敷地に端正なお庭」

「和風と所々ハイモデルなエクステリアがマッチする特徴的な築30年の一戸建て」

 ワァオ~ 。 

<<< 計画 >>>

■場所
*数寄屋門:屋根内側、柱、門の枠、門扉
*数寄屋玄関:屋根内側、柱、玄関の枠、玄関扉、雨戸

■工期
作業日10~11日間 雨天中止(予備日1日)

■工程
通常の4工程
①洗い
②染抜き
③研磨
④保護剤塗布

門と玄関、同じ①~④工程を5日間の合計10日間で仕上げる計画です。

1日目(初日) 
現状チェックと作戦計画

現状チェックでわかった事
・表面がザラザラ
・何らかの色塗装が疎らに残っている
・別の塗装がムラになっている
・玄関扉と雨戸は多少の日焼けはあるが状態良好

5日間で門、その後4日間で玄関、1日をチェック・調整

さぁ~開始 門から!

表面のざらつき 工程が1つ増えた 「①洗い」の前に「削り」を追加し5工程に変更
特殊なカンナ・樹皮スクレーパー?で表面を削ります。

1日目~5日目AM  
門からスタート  

4、5日間で門の洗いまで仕上げます。

削り⇔洗い⇔染抜き⇔研磨を繰り返す根気と体力のいる作業

[削り]
削る!削る! サンダーやペーパーで研磨した手触りとは全く違い、何より艶が出るんです。木の香りも…これぞ甦りですね~

[洗い]
過酸化水素水液(弱酸性PH3~5)で全体の汚れを落とす=ハケとスポンジで手洗い後は水で洗い流す

[染抜き]
リン酸水(中酸性PH1.5)と塗料剥離剤やアルカリ性剤で染抜きは、表面の様子を見ながらの作業です。

[研磨]
サンダーやペーパーで表面の毛羽立ちを整える

5日目PM~6日目・8日目 
玄関がスタート 
 

画像:施工前・玄関全体現調

3.5日間で玄関の洗いまでをしあげます、途中7日目に門の保護材塗布

削り⇔洗い⇔染抜き⇔研磨を繰り返す根気と体力のいる作業

[削り]
屋根裏側の垂木のざらざら表面をスクレーパーで削るとツルツルの美しい木目がよみがえります。

[洗い・染抜き]
全体を洗い、屋根先の一番雨ざらしの汚れは酷く洗いと染抜きを繰り返し、扉・雨戸は門扉同様、洗いと染抜きを繰り返して塗料を除去します。

[研磨]
柱は削りのおかげで少ない毛羽立ちを手研磨で取り表面を整えていきます。
門引き戸・玄関扉・雨戸の広い範囲はサンダーで細かい部分を手研磨で整えます。

7日目
玄関作業の間で門が完全乾燥したので 
保護剤を塗布2回 門を完成させる 
 

塗布後の雨濡れに注意なので、お天気の神様にお祈り!

9日目
完全乾燥後の玄関に保護剤の塗布2回 
玄関も完成させる 
 

塗布後の雨濡れに注意なので、明日までのお天気を神様にお祈り!

今回の保護剤について

保護剤として「Ⓐ木肌美人(ミヤキ)」 「Ⓑガラスコーティング(JW)」の2パターンをご提案。
Ⓐを採用することになり、2回塗りで保護しました。

ちなみに施主様はⒷガラスコーティングを選ばれたのですが、ガラスコーティングは濡れ色に仕上がる為、せっかくの美しい白木なのでⒶをお勧めしました。

保護材の仕様(JWデータ・使用状況により異なる)

Ⓐ木肌美人(ミヤキ)
シリコン・フッ素化合物 
耐用年数:約3年 
カラー:クリア(塗布時は濡れ色、乾燥後はクリア) 
光沢:なし
■特性
塗膜を作らない撥水撥油効果、硬度2~3程度(施工材表面の硬度と同じ)、日焼け防止剤入り(日焼けはする)、防汚性ほか、標準2回塗り、施工後24時間は水や雨ぬれ厳禁

Ⓑエバーグラスコート抗菌プラス(弊社)
ガラス系剤 
耐用年数:約5年 
カラー:クリア(濡れ色)ほか カラーGコート(基準色5色) 
光沢:多少あり
■特性
親水性コーティング、撥水撥油効果、硬度8以上、抗菌性能でカビ防止効果、防汚性ほか、標準1回塗り、施工後12時間は水や雨ぬれ厳禁、完全硬化まで24時間程度、濡れ色仕上げ

10日目
全体チェックと最終清掃作業
 

全体のチェックと手直し

完成で~す! 

長かったぁ~。暑いわ、日焼けするわで大変でした。

施主様も大変喜んでいただき、里帰り中の息子さんは「昔の門と玄関に戻りましたね~」と懐かしんでおられました。

長期間のご対応で気疲れされないかと心配でしたが、気さくな施主様ご家族に感謝しかありません。お世話になりました、有難うございました!

 施工前(現調時)
施工後(完了時)
施工前(現調時)
 施工前(現調時)
施工後(完了時)
施工前(現調時)
施工後(完了時)
施工前(現調時)
施工後(完了時)
施工前(現調時)
施工後(完了時)

まとめ

この現場作業で木について色々勉強になりました。何を何でどうしたら良いのか… 

「木=髪の毛」 

パサパサにならないように弱酸性で洗い、よく洗い流し、部分的な傷んだキューティクルを補修しつつ全体を整えていく・・・って感じですね。

市販の白木用洗剤を使ってきた私にとって、画期的な薬剤による化学的な作業でした。

原因、処理が必要か否か、処理の仕方、今後のためを考えつつ工程をこなしていく職人さんからの教えは尊いものです!

職人さん曰く「そもそも洗って保護剤を塗ったら終わりじゃないで!」


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